アブジェクションとキャンプ
「フェミニズムと映像表現」、フェミニスト手芸グループ山姥、今年のこと
クマブックス
2025.01.23
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この記事のタイトル「アブジェクションとキャンプ」は、国立近代美術館で昨年開催された小企画展「フェミニズムと映像表現」のHPにあった村上由鶴さんの展覧会レビューから。
フェミニズム的な芸術表現には「おぞましいもの(アブジェクション)」と「キャンプ」という、大きなふたつの傾向があるように思う。前者は、鑑賞者の心に時に傷を残すほどの攻撃として働き、作者が直面する性差別や不平等を訴える。後者はユーモアやアイロニーを用いて、男性中心主義社会の欺瞞を誇張し、おちょくり、いじり倒す。
村上由鶴 「フェミニズムと映像表現」展に寄せて——終わりの見えない過程のなかで」
この展示にあったマーサ・ロスラーの《キッチンの記号論 (Semiotics of the Kitchen)》(1975)はレビューの中でキャンプ的なフェミニズム・アートとして挙げられていて、個人的にすごく好きな作品である。ちょっとギャル・カルチャーにも似たパワーというか(不況の90年代におけるモー娘。「LOVEマシーン」的な)、励まされる感じがキャンプの良さだと思う。差別や暴力の過酷さをあらわにするアブジェクションの作品/語りは、精神が好調なときでも受け止めるのがきついことがあるし、その過酷な体験をなぞることは、その体験を実際に受けることにとても近いような気がする。私自身は、何かに置き換えて表現すること・より匿名的で単純な物語に落とし込むことの方がしっくりくる気がしている。今のところ。